ニュージーランドに住む我々にとって身近な法律問題

上記のタイトルに沿って、最近日本の新聞でみました二つの出来事をニュージーランドから見た視線で紹介してみます。

ハーグ条約

「ハーグ条約:国内手続き法が成立 年度内にも施行」と6月12日付けの毎日新聞に出ていました。まずハーグ条約とは英語でthe Hague Conventionと書き、ウィキペディアによりますと「オランダのハーグで行われたハーグ国際私法会議において締結された国際私法条約の総称。」となっています。 続きを読む

陪審員の役目を理解するために

陪審員の役目を理解するために

陪審制度に関係する最近の新聞記事を拾ってみました。

ニュージーランド日本法律問題研究会
西 村 純 一(弁護士)

ニュージーランドにおける陪審員の選考は選挙人登録名簿から無作為に選ばれますので、あなたにも召喚状が送られてくるかもしれません。2008年10月号に陪審員召喚について掲載致しましたが、その役目をより一層理解できるように陪審員が裁判にかかわる実例を次のとおり紹介致します。 続きを読む

Jury Service 陪審員召喚

Jury Service 陪審員召喚

(ニュージーランド法務省発行資料)

ニュージーランド日本法律問題研究会
翻訳:神 谷 岱 劭(J.P.)
監修:西 村 純 一(弁護士)
編集:松 崎 一 広

陪審員とは
陪審員は裁判所の審理に参加し、証拠や証言を吟味し、そして、陪審員の評決(決定)を下すために無作為に選出された12人によって構成されるグループです。 続きを読む

制定法の解釈

制定法の解釈と言う“身近な問題”

制定法の解釈などと言うものは、法廷弁護士間の議論か、裁判所にかかわりのない自分には関係ないと思われる人が多いかと理解しています。しかしながら法律がすべての人を対象とする性質のものであるため、ここニュージーランドに住む限り、まんざら他人事でもないという話を紹介しましょう。

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契約の持つ威力

日常生活の中で契約と言うものは頻繁に交わされています。契約成立の要素のひとつにOFFER(契約申込み)とACCEPTANCE(承諾)があります。

身近な法的契約の成立はスーパーマーケットで自分が選んだ商品をレジに差し出すことです。スーパー側は売るために既に値段を提示して商品を並べています。即ちこれがOFFERです。そしてある品を選んでレジに渡す行為がACCEPTANCEです。これでひとつの契約が成立です。紙に書かれたものだけが契約ではありません。行為や口頭でOFFERとACEPTANCEが認められる場合はすべて合法的な契約です。

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シビバツ事件

シビバツ事件の顛末

平手で2回位なら夫は妻を打ってもよいか?スポーツの有名人なら刑事裁判で名前を伏せてもよいか?海外出張を頻繁にする大きな仕事を人するなら、犯罪歴が今後の仕事の妨げになるので、軽犯罪で初犯の場合なら無実にしてもよいか?

この様な質問への答えは一見明らかの様に思われます。すぐに聞こえてきそうな反論は次の様なものではないでしょうか?

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判例から学ぶ!NZ法律案内 第6回

判例から学ぶ!NZ法律案内 第6回

第6回 契約義務の不履行

今回は契約に関係したRepudiation(リピュディエーション)という法律の考え方についてお話します。これは、契約義務を果たさなければならない期日前に、その実行を違法に拒絶することです。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、日本人が犯しやすい過ちの一つでもあるのです。

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判例から学ぶ!NZ法律案内 第5回

判例から学ぶ!NZ法律案内 第5回

第5回 議論の面白さ

この国で法律を学び始めたころ、ニュージーランドの裁判所ではどんな議論が正当な議論として受け入れられているのだろう、といつも考えていました。結局、この疑問に対する回答は多くの判例を見ることでしか理解できないと思い至りましたが、今回は中でも議論の面白さが印象に残っている英国の判例を紹介しましょう。

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判例から学ぶ!NZ法律案内 第4回

判例から学ぶ!NZ法律案内 第4回

第4回 半分真実

契約成立後、実際にはその契約書に明記されていなくても、契約交渉中に一方が明言した重要な事柄が事実でなかったことを証明すれば、賠償を求めるか、場合によっては契約をキャンセルすることも可能です。それでは、一方が明言した事柄が「半分真実」だったという場合はどうでしょうか?

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判例から学ぶ!NZ法律案内 第3回

判例から学ぶ!NZ法律案内 第3回

第3回 因果関係

あなたが誤って車で人をはねたとします。あわてて近くの店に飛び込み、救急車を呼んでいる間に、たまたま近くを通りかかった悪い人が、はねられて倒れている人から、300ドル入った財布を盗んで逃げてしまいました。さて、あなたの起こした事故がなければ、財布が盗まれることもなかったのは事実でしょうが、あなたはこの300ドルにも責任を負わなければならないのでしょうか?

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