現在、ニュージーランドでは、亡くなられた方の名義で15,000ドルを超える資産がある場合、原則として高等裁判所に申請する「Will Probate(遺言書の執行人の承認手続き)」または「Letters of Administration(相続管理人を決定する手続き)」が必要となっています。(15,000ドル未満であれば、上記の手続きは不要です)
この15,000ドルという基準額は2009年から変更されておらず、インフレやKiwiSaver残高の増加、現代の相続事情に対応できていないとの声が上がっていました。
政府はこの現状を踏まえ、資産額の基準を40,000ドルに引き上げる方向で調整を進めています。
(新基準の施行時期は未定です。)
新基準が施行されるとどうなるか?
新たな基準が施行されると、亡くなられた方が不動産を持たず、名義資産が40,000ドル未満であれば、遺言書執行人等は、Will Probateの正式な裁判所手続を経ることなく、銀行口座やKiwiSaverの資金の引き出し、名義変更が可能になる場合があります。
これは特に以下のようなケースにとって大きなメリットがあります:
- 高齢の方で資産が少額だった場合
- 資産のほとんどがファミリートラストに移されていた場合
- 若くして亡くなった方が、KiwiSaverの残高のみを遺した場合
つまり、亡くなられた方が不動産を持たず、名義資産が40,000ドル未満の場合、相続人の手続負担や弁護士費用が軽減されることになります。
相続人が直接銀行に問い合わせをし、手続き方法を確認、引き出し(相続人の口座への振込)等を進めることができます。
遺言書は依然として不可欠
この改正により、小規模な遺産に対する手続きは簡素化される可能性がありますが、遺言書(Will)の作成やエステート・プランニングの重要性は変わりません。
とりわけ以下のような方は、遺言書の早めの準備をおすすめします。
- パートナーや子どもに確実に資産を遺したい方
- 自分の資産を誰にどう分けたいのかを明確にある方
- 再婚・連れ子などの複雑な家族関係がある方
- ファミリートラストをお持ちの方
- 特定の品物や金銭を家族以外の方に遺したい方
- 葬儀や埋葬に関する希望を明確にしたい方
ローズバンク法律事務所では、高等裁判所に申請する「Will Probate(遺言書の執行人の承認手続き)」または「Letters of Administration(相続管理人を決定する手続き)」を承っております。
もし、亡くなられた方が不動産を持たず、名義資産が40,000ドル未満の場合でも、状況によって金融機関とのやり取りが必要です。
特に、相続人の方が日本にいらっしゃる場合には、現地での手続きの代行やサポートも可能です。
ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。