コロナウイルス(COVID-19) 影響下の商業物件の賃料

2020年4月16日

 

コロナでロックダウン中に、商業物件の賃料は支払うべき?リース契約書(Deed of Lease)の条項27.5をまず確認

大半の事業主は、リース契約を大家とかわし、店舗や事務所を、賃貸されているかと思います。

その事業主の中には、事務所を自宅に移し、Remoteで仕事をこなし、ビジネスにさほど影響を与える事なく、ロックダウンを過ごせる職種もあるかと思います。一方、カフェ、レストラン、美容室などの経営者は、ロックダウン中、収入がゼロとなり、(政府の要請で店舗のアクセスできない)この状況下で、賃料を支払わなくてはならない状況に直面します。

まず確認しなくてはならないことは、大家と交わしたリース契約(Deed of Lease)が最新版のSixth
Edition 2012 (4)かをリース契約書の右上に記載があることと、そのリースの条項27.5“No access in an
emergency”が削除されていない事です。

2011年のクライストチャーチ地震

No access in an emergency の条項が2012年に導入された背景には、2011年のクライストチャーチ地震あります。この災害後、店舗/事務所の大家からの賃貸の救済は、建物の破損が原因でビジネス続行が不可能になったテナントへのみでした。一方、Redゾーンに位置した、破損のなかった店舗は、店舗にアクセスができない状況であるのに、アクセスがきるまでの期間(テナントにより数カ月~数年の間)、法的には賃貸の支払い義務が発生しました。

その後、ニュージーランドのリース契約書のテンプレートを作成するオークランド弁護士協会は、災害(今回のような、Epidemic含む)でアクセスでなかったテナントを救済できる内容に更新したした契約書を発行しました。

Fair Proportionに関して

この条項には「店舗/事務所にアクセスできない期間、通常支払っている賃料のFair
Proportionが割り引かれる。」と記載があります。そこで、このFair Proportionとはどのように確定されるのでしょうか?

例えば、Remoteで営業が継続でき、収入にさほど影響がでなければ、賃料の割引は少ないので、大家はFair Proportionはゼロに近いと主張するかもしれません、一方、ロックダウンのよって全ての収入を奪われてしまったテナントには、割引幅を大きくすることがFairと言えるでしょう。

では、大家側の立場から考えてみましょう。もしテナントが賃料を支払ってくれなければ、ロックダウンのさなかでも物件に付随するMortgageやRatesなどの支払いは行わなくてならず(ただ、6カ月間のMortgage Holidayは申請できるかもしれませんが)、賃料をあてにしている大家は大変困るかもしれません。

Fair Proportionを確定させるためには、まず、大家へアプローチをし、お互いの状況を理解したうえで、納得のゆくFair Proportionを見つける事かと思います。

では、No access in an emergency条項がなければ?

リース契約書でまずその条項の代わる内容が記載されていないかを確認する事をお勧めします。もし該当条項がなかったとしても、交渉ができないわけではありません。

大家には賃料の割引の法的義務はありませんが、大家も、テナントに継続してビジネスを続けてほしいはずです。賃料の支払いが苦で破産されても困るかと思います。

賃料の支払いが難しい状況であれば、まずは大家にアプローチをし、可能な賃料救済がないかを尋ねる事はできます。大家よれば、割引に応じてくれるかもしれませんし、それが難しければ、ロックダウン中の賃料の延期や、分割で支払うなどの提案がされるかもしれません。

賃料の延滞による立退き通告  ルールの変更

注意しなくてはいけない点は、契約書上で支払い義務があるテナントが、賃料支払日に支払いを行わなければ、「延滞」となります。

延滞をすると、大家はテナントに立退き通告を出すことができます。現行の法律でのプロセスは、支払日から10営業日間賃料の支払いがされていなければ、大家は立退き通告を出すことができ、その通告は、10営業日以内に賃料の支払いをしなければ、リース契約がキャンセルされ、立退きを求めることが出来るとされています。

よって、支払日からは最短で20営業日まで延滞となれば、リース契約がキャンセルされる可能性があるという事です。

政府はコロナウイルスで打撃を受けたビジネスを救済すべく、商業物件の賃料の支払いに関するルールの変更案を提供する予定です。この記事の執筆時点ではまだ法律になっていないと言うことです。

それは、立退き通告が出せる、日数を10営業日から30営業日へ伸ばし、さらに、通告で通達する立退きの日数も10営業日から30営業日と伸ばすものです。(支払日か最短60営業日)。ただ、このルールの変更により、差し当たりテナントを立退きから救えますが、リース契約の基づく延滞金や罰金からテナントを救うルール変更は政府からの提供は今現在はないようです。

では、この変更案が執行後、すでに大家からだされた通告の位置づけについてですが、その通告での期間は新しいルールが適用され、支払い期限が伸びる事になると現在は案内されています。(通告から30営業日)

この状況下で、賃料の支払いが困難と予想されれば、大家と早い時期にコミュニケーションをとる事が、商業物件の賃料に関する交渉のKey Pointではないでしょうか。そして、首相のメッセージ‘Be Kind, Be Patient and to look after one
another”を忘れずに、お互い納得のゆく、救済策を練っていく事かと思います。