小規模ビジネス救済、1年間無利子ローンが5月12日より開始

2020年5月8日

2020年5月12日赤字部分更新

12週間分の従業員の給料を補助する政府からの救済「COVID-19 Wage Subsidy」を3月提供時に迅速に申請した企業は、6月中頃には、その補助金を使い果たす事を見込み、多くのビジネスが未だにフル活動でビジネスを再開できない中、政府は新たなローンスキームを発表しました。

対象は、コロナウィルスで打撃を受けた従業員50人以下の小規模ビジネスです。政府は、ビジネスを継続するために不可欠な店舗/事務所の賃貸の支払いなど、運営費キャッシュフローを維持すべく、最大で$100,000の1年間無利子ローンの提供を発表し、現在の申請期間は5月12日~6月12日の1カ月間のみとなります。

このスキームの概要

• 貸付額は、全申請企業に提供される$10,000をベースとし、フルタイム従業員一人に対し$1,800を加算し算出される。

• 貸付から2年間は返済を求められないが、1年以内に返済を完了すれば無利子。

• 2年目からは3%の利率が加算されていき、ローンの返済期限は5年。

適格条件はCOVID-19 Wage Subsidy と同等となり、申請ビジネスは、貸付金がビジネスの運営に使用される事などを申請時に宣誓し、政府との正式な契約を結ぶ事となります。
Inland Revenueがこのローンスキームを管理し、貸付額は「COVID-19 Wage Subsidy」の受領額をInland Revenueのサイトで入力する事で瞬時に算出されるシステムのようです。COVID-19 Wage Subsidyと同様、今回のローンスキームも迅速に支払われる事と予測されます。

政府と銀行が提携、コロナウイルスで打撃をうけたビジネスや家主へのサポートパッケージ

2020年4月20日

政府は3月26日のロックダウンに入る前に、既に打撃を受けている雇用主や従業員を救済すべく、Wage Subsidyの提供を開始しました。そして、その申請に早急な支払いおこない、4月17日現在で、$10 Billionを費やし、多くの市民の生活保護を行いました。

今回ご紹介する二つサポートパッケージの「Business finance guarantee scheme」と「Mortgage Holiday Scheme」は、こちらも政府主導で開始され、主にビジネスの運営やキャッシュフローを長期的に保護するためのものであり、Wage Subsidyと併用することができます。Business finance guarantee scheme は80%のリスクを政府が保証し、最大$6.25 Billionのローンを銀行と提携し成立させたサポートパッケージとなります。

最大で$500,000のローンを受ける事のできる「Business finance guarantee scheme」に関して

このスキームは、年間売上が$250,000~$80,000,000 のNZをベースにする中小企業が利用できるローンスキームで、NZの登録銀行すべてが、提供銀行として参加しています。このスキームで借りれる最高貸付額は$500,000と設定されていますが、個々の銀行はコロナウイルス影響を考慮し、独自の査定プロセスを踏み、貸し付け金が決定されます。

銀行からは今までの会計関係の書類を会計士から入手することを求められると思われますので、どこの銀行でもいいとは思われますが、すでに使っておられるある銀行に申し込む事が、ローン査定プロセスである、「信頼」や「業績」などを確認しやすく、申請が前に進みやすいかと考えられます。

このスキームの概要/注意点

  • ほぼすべての職種がこのスキームの対象であるが、農業や、Property Developmentなどは、このスキームでローンを組む事ができない職種の一つ。Excluded activities Listはgov.nzで確認ができる。
  • このスキームで借りた金額は3年以内に全額返済の必要があり、返済できる金額を申し込む事。
  • 2020年9月30日までがこのスキームの申請期限。
  • 銀行により利子や諸条件が事なるので、詳細は銀行に確認する事。

最大で6カ月のローン返済を延期 できるMortgage Holiday Schemeに関して

不動産などを抵当にして銀行に負債のある個人や中小企業が、コロナウイルスの影響で、収入に打撃を受けた際に、元本と利子両方のローン返済額すべてを、最大で6カ月間ストップできるMortgage Holiday Schemeの提供がNZ登録銀行からされる事になりました。

このスキームの最大の意図は、コロナウイルスの影響で月々支払っているローンの返済できない状況に陥った借り手が、住む場所を失わせない事であり、言い換えると、銀行はMortgage Saleで、担保の家を簡単に売却できない、となります。

このスキームを申し込まれる前にご理解頂いたいことは、支払いをストップしている期間も元本残金に対しての利子は加算されていき、利子がその期間「無し」になるわけではない、という事です。すなわち、支払いを再開する際の残金は、ストップする前の残金より増えており、最終的に支払う合計はこのスキームを利用する前より増えるということです。

このスキーム以外の救済案を提示している銀行は多いようですので、もし少額なら返済が可能であれば、「一定期間の元本の返済のみストップし、利子は払い続ける、(元本残金は増加を防ぐ)」、又は、「ローン期間を長くし、月々の返済額を少なくする。」などの救済案を提供しているか、ローンを組んでいる銀行に確認してみる事も可能かと思います。

支払いが厳しなってきたら、まず、銀行のご相談いただき、それらが提供するオプション検討されたら良いかと思います。

 

コロナウイルス(COVID-19) 影響下の商業物件の賃料

2020年4月16日

 

コロナでロックダウン中に、商業物件の賃料は支払うべき?リース契約書(Deed of Lease)の条項27.5をまず確認

大半の事業主は、リース契約を大家とかわし、店舗や事務所を、賃貸されているかと思います。

その事業主の中には、事務所を自宅に移し、Remoteで仕事をこなし、ビジネスにさほど影響を与える事なく、ロックダウンを過ごせる職種もあるかと思います。一方、カフェ、レストラン、美容室などの経営者は、ロックダウン中、収入がゼロとなり、(政府の要請で店舗のアクセスできない)この状況下で、賃料を支払わなくてはならない状況に直面します。

まず確認しなくてはならないことは、大家と交わしたリース契約(Deed of Lease)が最新版のSixth
Edition 2012 (4)かをリース契約書の右上に記載があることと、そのリースの条項27.5“No access in an
emergency”が削除されていない事です。

2011年のクライストチャーチ地震

No access in an emergency の条項が2012年に導入された背景には、2011年のクライストチャーチ地震あります。この災害後、店舗/事務所の大家からの賃貸の救済は、建物の破損が原因でビジネス続行が不可能になったテナントへのみでした。一方、Redゾーンに位置した、破損のなかった店舗は、店舗にアクセスができない状況であるのに、アクセスがきるまでの期間(テナントにより数カ月~数年の間)、法的には賃貸の支払い義務が発生しました。

その後、ニュージーランドのリース契約書のテンプレートを作成するオークランド弁護士協会は、災害(今回のような、Epidemic含む)でアクセスでなかったテナントを救済できる内容に更新したした契約書を発行しました。

Fair Proportionに関して

この条項には「店舗/事務所にアクセスできない期間、通常支払っている賃料のFair
Proportionが割り引かれる。」と記載があります。そこで、このFair Proportionとはどのように確定されるのでしょうか?

例えば、Remoteで営業が継続でき、収入にさほど影響がでなければ、賃料の割引は少ないので、大家はFair Proportionはゼロに近いと主張するかもしれません、一方、ロックダウンのよって全ての収入を奪われてしまったテナントには、割引幅を大きくすることがFairと言えるでしょう。

では、大家側の立場から考えてみましょう。もしテナントが賃料を支払ってくれなければ、ロックダウンのさなかでも物件に付随するMortgageやRatesなどの支払いは行わなくてならず(ただ、6カ月間のMortgage Holidayは申請できるかもしれませんが)、賃料をあてにしている大家は大変困るかもしれません。

Fair Proportionを確定させるためには、まず、大家へアプローチをし、お互いの状況を理解したうえで、納得のゆくFair Proportionを見つける事かと思います。

では、No access in an emergency条項がなければ?

リース契約書でまずその条項の代わる内容が記載されていないかを確認する事をお勧めします。もし該当条項がなかったとしても、交渉ができないわけではありません。

大家には賃料の割引の法的義務はありませんが、大家も、テナントに継続してビジネスを続けてほしいはずです。賃料の支払いが苦で破産されても困るかと思います。

賃料の支払いが難しい状況であれば、まずは大家にアプローチをし、可能な賃料救済がないかを尋ねる事はできます。大家よれば、割引に応じてくれるかもしれませんし、それが難しければ、ロックダウン中の賃料の延期や、分割で支払うなどの提案がされるかもしれません。

賃料の延滞による立退き通告  ルールの変更

注意しなくてはいけない点は、契約書上で支払い義務があるテナントが、賃料支払日に支払いを行わなければ、「延滞」となります。

延滞をすると、大家はテナントに立退き通告を出すことができます。現行の法律でのプロセスは、支払日から10営業日間賃料の支払いがされていなければ、大家は立退き通告を出すことができ、その通告は、10営業日以内に賃料の支払いをしなければ、リース契約がキャンセルされ、立退きを求めることが出来るとされています。

よって、支払日からは最短で20営業日まで延滞となれば、リース契約がキャンセルされる可能性があるという事です。

政府はコロナウイルスで打撃を受けたビジネスを救済すべく、商業物件の賃料の支払いに関するルールの変更案を提供する予定です。この記事の執筆時点ではまだ法律になっていないと言うことです。

それは、立退き通告が出せる、日数を10営業日から30営業日へ伸ばし、さらに、通告で通達する立退きの日数も10営業日から30営業日と伸ばすものです。(支払日か最短60営業日)。ただ、このルールの変更により、差し当たりテナントを立退きから救えますが、リース契約の基づく延滞金や罰金からテナントを救うルール変更は政府からの提供は今現在はないようです。

では、この変更案が執行後、すでに大家からだされた通告の位置づけについてですが、その通告での期間は新しいルールが適用され、支払い期限が伸びる事になると現在は案内されています。(通告から30営業日)

この状況下で、賃料の支払いが困難と予想されれば、大家と早い時期にコミュニケーションをとる事が、商業物件の賃料に関する交渉のKey Pointではないでしょうか。そして、首相のメッセージ‘Be Kind, Be Patient and to look after one
another”を忘れずに、お互い納得のゆく、救済策を練っていく事かと思います。

COVID-19 Wage Subsidy (政府補助金)について

4月16日

 

NZ政府は3月25日にCOVID19への警戒レベルを最高の「レベル4」へと引き上げ、必要最低限の買い出しや、Essential Serviceとされる業種の人の外出を除き、原則として外出禁止(ロックダウン)となりました。

警戒レベルが設定後、ロックダウンへと進む過程で、雇用主とその従業員の生活を保護すべく、政府はビジネス救済対策、「Covid-19 Wage Subsidy」を実行しました。日本人経営者を含む多くのビジネスがこの補助金を申請し、その従業員は受領を受けていると思います。

そこで、今回「Covid-19 Wage Subsidy」に関連して、「税金の処理の仕方」に関してと、「Covid19 Wage Subsidy補助受領者の公表」に関してご案内します。

1. 税金の処理の仕方

この補助金を受領した会社、Solo Trader, Partnership のPartnerが、疑問に思う税金に関しての質問をQ & A形式で税金処理の仕方を紹介します。

  • 受け取った補助金にGSTを支払う必要はありますか ?

A:GSTの対象金ではないので、支払いの必要はありません。

  • 受け取った補助金を収入として処理する必要がありますか?

A: 受け取った補助金はExcluded Incomeとして税金対象外の収入とみなされます。すなわち、この補助金に関しては法人税等の支払いの義務はありません。

  • この補助金を含む賃金の支払いの際、PAYEの差し引きはどうしたらよいですか?

A: 通常の賃金の支払いと同じように、PAYE, Kiwi Saver、Student Loanなどを差し引いて支払ってください。雇用主は、受け取った補助金を従業員へ支払う際、通常の給与と同じ扱いでPAYEの支払い義務があります。

  • では、自営業主(Solo TraderPartnershipPartnerなど)がこの補助金を、個人の給料として受け取る場合の税金処理どうなりますか?

A: 自営業主が、個人の取り分として受け取る場合は、収入があったとみなし、税金対象になります。

2. Covid19 Wage Subsidy補助受領者の公表

政府のMinistry
of Social Developmentは4月6日に「Covid-19 Wage subsidy」補助金を受領したすべての雇用主と、それが申請した従業人の数、受領合計額がサーチできる、公開サイトを発表しました。

https://services.workandincome.govt.nz/eps

その背景としてこのビジネス救済対策は、Covid19蔓延阻止対策中に、雇用主が可能な限り通常の給料の支払いをサポートし、従業員(Sole
Traderや自営業の場合は自身に対して)の最低限の生活を保護するという強い意図があると思われます。これを義務づけるために申請企業名が一般へ情報公開されることへの了承と下記の内容の宣誓を申請者に求めています。

  • 従業員のOrdinary
    Wage 又はSalaryの80%を可能な限り支払う
  • もしそれが不可能であれば、受け取った救済金全額を従業員に支払う。

今回の公表には、ビジネス救済対策、「Covid19
Wage Subsidy」の透明性を第一とし、上記の宣誓にもかかわらず、補助金を受け取りながら賃金を支払わない雇用主を阻止する意図があります。

雇用主がWage
Subsidyを受け取ったかどうかを従業員がサーチする際の注意点:

  • Trading nameやCompany Nameでサーチする事。
  • Trading nameとは、企業が一般に知られれている名前 (例:飲食業であれば顧客に知られている店名など)
  • Company NameとはNZの会社登録があれば、Company
    Officeへの登録会社名(ASB
    Service Limited など)

ニュージーランドでのビジネスに関係する法律問題(1)

概要

ニュージーランドでビジネスを成功させるためには、弁護士などの専門家の助言はもちろん必要ですが、実際のビジネスの運営者が法律の基本的知識を持っているか否かで、その後のビジネスの展開に大きな違いが出てくると考えられます。今回は、現地法人の登録と物件のリース契約に関して知っておくべき事柄について説明します。 続きを読む